熊本県 南阿蘇の眼科医です。緑内障、加齢黄斑変性症、斜視、弱視、ロービジョンケア等。

       
南阿蘇原眼科

心因性視力障害

最近、視力低下の原因に一致するような所見が認められず、何らかの心的要因が原因と思われる視力の悪い子供をしばしば経験します。発病には、思春期に始まる急速な身体的変化、不安定な精神状態や欲求不満が大きな役割を果たすと言われています。子供は自我の未熟性によって、心的問題が身体症状に転換されやすいのです。「学校に行きたくない」と思うと、頭痛や腹痛が出たり、発熱したりする子供がいるのはご存知でしょう。それが視力低下となって現れるのが、心因性視力障害と呼ばれるものです。

視力障害以外には、眼痛、チック、色視症など

視力障害の程度は一般に中程度で、極端に悪い例は少ないようです。私の経験では、小学5年生頃が最も多く、下は小学1年生から上は中学3年生までに及びます。女子が男子に比べると多く、しかもおとなしく、内向的な子供が多いようです。視力障害以外の眼症状としては、眼痛、チック、色視症(異常な色がついて見える)が挙げられます。視野異常などを伴うこともあります。

心因性視力障害の心的要因は様々

心因性視力障害を起こす心的要因は様々です。学校でのいじめ、学力不振や集団生活不適応などの学校内要因もよくあります。また、家庭内の要因もいろいろあって、両親の不仲や離婚、共稼ぎであるため親との接触時間が少ないこと、気の進まない習い事や塾通いなどが大きなストレスとなっていることもあります。さらに、友人や両親あるいは尊敬している人がメガネをかけているのに憧れて、視力が出ない例も少なくありません。

精神的に安定すれば視力は回復する

治療効果はまちまちですが、一般に長期間を要します。目自体は悪くないのですから、精神的に安定すれば視力は戻ります。まず、原因は何であるのかを探り出し、適切なアドバイスや治療を行ってくれる小児精神科医の協力がぜひ必要です。当然、学校側も家族も一体となって取り組まなければ、なかなか解決しない疾患です。

原眼科 院長 原敬三

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