熊本県 南阿蘇・大津町を診療圏とする眼科医です。緑内障、斜視、弱視等。

       
南阿蘇原眼科

黄斑部疾患

カメラのフィルムにあたる網膜には、非常に感度の良い部位と、そうでない部位があります。黄斑部と呼ばれる中心部が視力や色に対して最も敏感です。中心部から1㍉離れた網膜は、もう0.1程度の視力しかありません。その重要な中心部が障害される病気が黄斑部疾患と呼ばれるものです。

中心部が見えなくなる黄斑部疾患

網膜の中心部が障害されるため、視野の真ん中だけが暗く見え、物がゆがんで見えたり、色がくすんだりします。運転する人や、カメラや顕微鏡を使う人は早く気付くのですが、片目の障害は案外気付きにくいものです。本疾患にも遺伝性のものや、老人性のものがありますが、中・高年齢者に多く起こってくる病気に次のようなものがあります。

中心性網脈絡膜症

30~40歳代の働き盛りの人に多く、男性が80%を占めます。通常は片眼性です。全身的な疲労やストレスが誘因となり、網膜を栄養している脈絡膜の血管が一時的な循環障害を起こし、血管透過性が強くなって、血液の液体成分がもれ出します。その結果、黄斑部にむくみを起こし、前述のような症状が出てきます。予後は良く、半年位で自然に治癒する例もあります。治療には循環改善剤を用いたり、液がもれ出てくる部位をレーザー光線でふさぐこともあります。

老人性円板状黄斑変性症

人口の高齢化に伴い増加しており、老年者の中心視力障害の大きな原因になっています。本症は脈絡膜から新生血管が伸びてきて、網膜の中や下に出血やむくみを起こし、網膜の視細胞が壊されます。数年かかって進行し、最終的には0.1以下の視力になります。新生血管が中心部からずれていれば、レーザー光線による治療を行いますが、進行を止める位の効果しかなく、やっかいな病気です。

原眼科 院長 原敬三

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